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どこまでも玩具

第12章 晒された命


 冬休み一日目。
 俺は類沢のベッドの上で、それを迎えた。
 まだ、朝早い。
 携帯を開くと七時半だった。
 眠気を引き摺る脳で夢を思い返す。
 夢。
 考えたことを整理してくれる。
 ただ、あんな結論はいらなかった。
 俺は夢に現れたタンスの位置を眺めてみる。
 そこには壁が広がっているだけだ。
 あんなにハッキリあったのに。
 欠伸をする。
 顎が少し痛い。
 首を回して、布団から出る。
 類沢はいなかった。
 メモが置いてある。
―裁判の件で出掛けてくる。誰か来ても無視して―
 朝食もそばにある。
 何時に出て行ったんだ。
 弁護士に会いにいったんだろうか。
 まさか、県外?
 窓からガレージを見ると、案の定車はない。
 いきなり一人になってしまった。
 結局昨日は俺が先に寝ちゃったし。
「……ええ! なんだそれ!」
 頭を抱えて今の考えに愕然とする。
 俺はやっぱり、おかしい。
 アカの言葉を思い出す。
 そうなのか。
 ありえないことが起きているのか。
 朝食をレンジに入れる。
 ボタンに指を押し付け、頭を振る。
 瞼が重い。
 夢が長すぎたか。

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