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どこまでも玩具

第3章 枯らされた友情

 口の中のティッシュが唾液と汗で濡れてぐちゃぐちゃになっている。
 吐き気を堪えるのも辛い。
 マスクからは水滴が滴り落ちる。
 「外したい? ソレ」
 俺はプライドを押し殺して頷いた。
 今更恥など考えてられない。
 外されれば、紅乃木が来たとき合図が出せる。
 そのためだ。
 類沢は手を止めてオレを見つめた。
 それだけで体が震える。
 怖い。
 オレは、類沢雅が怖い。
 気づきたくなかった。
 どうにもならないから。
「五月蝿いのは嫌いだからね」
 冷たい指がマスクにかかる。
「静かにしなよ」
 そして、外された。
 銀の糸を引いてティッシュが出される。
「ガッ……ぅえ……ごほ」
 激しく咽せながら空気を求めた。
 肺がヒューヒュー鳴ってる気がする。
「ゴミ箱……」
 ティッシュを手にした類沢は独り言のように呟くと、カーテンの向こうに消えた。
 安心して力を抜く。
 全身が早く解放しろと悲鳴を上げていた。
 仕方がないのに。
 次に姿を現した類沢を見て、体が強張った。
「何だよ……それは」
 類沢は注射器に似たものを持っていた。何故、こんな言い方をするかというと、そのサイズがおかしいからだ。
 腕の長さ程ある管には、ドロリとした液体が満たされている。
「あはは、体罰」
 ニコニコしながら類沢はその針の側をオレの脚の間に射し込む。
「おい、冗談じゃ……」
 グリッ。
 背中が痙攣する。
 あまりの圧迫感に、脚が痺れた。
 類沢は楽しむようにその中身を押し出し始めた。
「はッ……ちょ……んん」
 徐々に腸内に液体が侵入する。
 腹が金切り声を上げてる。
 痛い。
 気持ち悪い。
 グプ。
 全て入ると、それが抜かれた。
 だが後孔はすぐに収縮し、中身を零すまいと力む。
「キツい?」
 キツいに決まってる。
 体をよじって痛みから逃げる術を探す。
 でも、もうわかっていた。
 この液体の正体を。

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