テキストサイズ

どこまでも玩具

第3章 枯らされた友情

 だから、尚更抵抗をやめられない。
 信じられない。
 こんなこと、あり得ねぇ。
「我慢は体に毒だよ? ほら、保健の教員だからさ、心配するんだよ」
 黙れ。悪魔。
 原因は誰だよ。
 類沢は大きなビニール袋をあてがった。
「……誰がっ」
 気持ちとは裏腹にもう限界だ。
 助けて。
「くく……その顔」
 気が遠くなる中、シャッター音が脳に響いた。




 ギチギチ。
 何の音だ。
 オレは目を開けようとする。
 ギチギチ。
 音は止まない。
 瞼は重い。
 そうか。
 夢か。
 覚めなきゃ。
 グリ。
「はッ―――あぅう!」
「あ、やっと起きたね」
「てっ…め何して」
 自分の脚が開かれたまま縛られている。
 動くのは股関節位だ。
 そして、ずっと感じてた違和感。
 ギチ……。
「ふッッあぁ」
「目が覚めないからレベル最大にしてたんだよ」
 そう囁いて類沢は手元のリモコンを操作する。
 同時に振動が弱まった。
「……ぁあ……はッ」
 オレは涙で濡れた枕に頭を押し付ける。
 早く夢に戻りたい。
 こんな現実逃げたい。
「ダメ」
 類沢はバイブを力強く捻った。
 敏感な箇所を余さず擦り上げられる。
「気を失おうなんて、体罰にならないだろう」
「も……やめッッ」

 タンタンタン。
 足音だ。
 オレは気力を振り絞って時計を見る。
 七時過ぎ。
 紅乃木が来たのだ。
 身をよじって扉に向かい声を上げようとする。
 しかし、類沢の手がそれを拒んだ。
 「まだ諦めてなかったんだね」
 ぞわり。
 類沢の声から余裕が消えた。
 オレは急いで紅乃木に助けを求める術を探す。
 約束したんだ。
 紅乃木が助けてくれる。


 でも


 なんで


 足音は


 遠ざかってんだろう

ストーリーメニュー

TOPTOPへ