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どこまでも玩具

第1章 現れた白衣

 プツ。
 プツ。
 冷気が胸元に入り込んでくる。
 まだ夏の暑さが残っているはずなのに、背筋がスーッと冷たくなる。
「頼む……マジでやめろ」
 最後の一つを手に掛けたまま類沢が止まる。
 そして、凍った目で見下ろす。
「言葉遣い、違うよ」
 彼の冷たい手がお腹を触れる。
 それだけで変な声が出そうになる。
「……あぅ……ッッ……謝るから止めて下さ……」
「そうだね。ご主人様、ご奉仕するのでお許し下さい、とか言えば許してあげるよ」
 カアッと熱くなる。
 そんなん言ったところで、好き勝手にされるだけだろ。
「あと三秒以内に答えなかったら……」
 言葉を切って意味ありげにウィンクをする。
「三……」
 うそだろ。
 嘘だろ。
「二…」
 はえーよ。
 こんな、選択ってあるか?
「一、零。そう……瑞希は痛いのが好きなんだね」
「え?」
「どの道もう決まってるけど」
 何が?
 何がだよ。
 訳も分からず全身が強張る。
 こんな状況で想像しうるのは一つだけだ。知識も無いが、危険だってことだけはわかる。
 わかったところでどうしょうもないが。
 ピチャ。
「んん――!!」
 指を噛んで悲鳴を堪える。
 それを見て、楽しげに突起への愛撫を続ける類沢。
 その舌先が触れる度に体が仰け反る。
 しかも下半身が疼いてくる始末だ。
 涙ぐむ俺に何を察したのか、類沢は脚の間に入れた彼の膝で強くそこを踏みつける。
「ああッッ……やめ……」
 自分でも認めたくなかった体の反応を、一番悟られたくない奴に知られた。
「……勃つんだ」
 さらにこの侮辱。
「じゃあ、これ脱ごうか」
 カチリ。
 ベルトが外され、ズボンが下ろされる。
 その間も指で乳首を弄ぶものだから、全く抵抗出来なかった。
「滲みすぎじゃない?」
 グチャグチャ音を立てて下着越しにそれを扱く。
「がっ……あぁああッッ」
 ランダムに動く指に遊ばれる。
「や、ぁく……」
 久しく無かった快感に脳が飛びつく。
 バチバチと目の前が眩んで、呆気なく果ててしまった。
「うわ……早いね、瑞希」
 呼ぶな。
 その口で呼ぶな。
 類沢は髪をかきあげ、白衣を脱いだ。
 現れた無駄のない肉体に息を呑む。
(コイツ……保険医の前何してやがったんだ)
「じゃあ、腰上げて」
 ハァハァ。
 乱れた息が整わない。

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