どこまでも玩具
第1章 現れた白衣
「がはっ……ゴホ、ゴホっ」
「んー、もしかしてファーストキスだった?」
類沢は紅い唇を指先でなぞりながら首を傾げる。
「……は?」
俺はとにかく事態が飲み込めず、上手く思考が回らずにいた。
今や類沢から上半身は解放されたというのに、腕どころか指一本動かすのも厳しい。
体が一斉にデモを起こして俺を見捨てたみたいだ。
「下手だから」
瞬きを何回かしてしまった。
何故……何故男に、今日会ったばかりの男にキスを批判されなければならないのか。
それに無理やりしてきたのは、そっちのほうだろ。
「……ま、三日もすれば人並みになれるんじゃない」
独り言のように呟くと、類沢はまた顔を近づけてきた。
さっきの感覚を思い出し、怖くなって顔を逸らす。
目を瞑って、これが夢なら覚めろと願う。
だって、俺は委員の仕事をしにきただけなんだ。
「ふ……ッッああ」
突然首もとに電撃が走った。
恐る恐る目を開けると、類沢が首筋に吸いついている。
「ば……かじゃねぇの」
なんとか抵抗を見せるも、舌全体でゆるゆると舐め上げられると何も考えられなくなる。
「……ん」
さっきの自分の声が癪に触って、なんとか声を噛み殺す。
歯の隙間から漏れるのは仕方ない。
だが、こんな奴に喘ぎ声なんか聞かれたくないし、それが本人によって出されたものなんて最悪だ。
カリ。
「はんッッ」
口元から手が外れた。
咬まれた場所がズキズキと全身に麻痺を伝える。
「首だけでイケるんじゃない」
余裕綽々といった類沢はとんでもないことを口にする。
「ふざけんな! 誰か来たらタダじゃ済まないからな」
必死に睨みつけるが、何も響いてないように彼は俺の頬を撫でる。
「そんなの心配しなくていいよ。もう部活で残ってる生徒もいないし……万が一来たとしても鍵、閉めたから」
呆然とする。
そして次に震えが襲う。
「ナニ? 怖いの。震えちゃって。口だけだね、お前」
夕日が照らすその顔は、美しく陰影を浮かべ、同時に残酷に微笑む。
そうか。
こいつは悪魔だ。
だから、会った時からあの感覚。
じゃあ俺は、今からこの悪魔に、適わない悪魔に、ナニをされるんだ?
「とりあえず、その態度から直して行くかな」
そう言って類沢は一つ一つ俺のシャツのボタンを外し始めた。
「んー、もしかしてファーストキスだった?」
類沢は紅い唇を指先でなぞりながら首を傾げる。
「……は?」
俺はとにかく事態が飲み込めず、上手く思考が回らずにいた。
今や類沢から上半身は解放されたというのに、腕どころか指一本動かすのも厳しい。
体が一斉にデモを起こして俺を見捨てたみたいだ。
「下手だから」
瞬きを何回かしてしまった。
何故……何故男に、今日会ったばかりの男にキスを批判されなければならないのか。
それに無理やりしてきたのは、そっちのほうだろ。
「……ま、三日もすれば人並みになれるんじゃない」
独り言のように呟くと、類沢はまた顔を近づけてきた。
さっきの感覚を思い出し、怖くなって顔を逸らす。
目を瞑って、これが夢なら覚めろと願う。
だって、俺は委員の仕事をしにきただけなんだ。
「ふ……ッッああ」
突然首もとに電撃が走った。
恐る恐る目を開けると、類沢が首筋に吸いついている。
「ば……かじゃねぇの」
なんとか抵抗を見せるも、舌全体でゆるゆると舐め上げられると何も考えられなくなる。
「……ん」
さっきの自分の声が癪に触って、なんとか声を噛み殺す。
歯の隙間から漏れるのは仕方ない。
だが、こんな奴に喘ぎ声なんか聞かれたくないし、それが本人によって出されたものなんて最悪だ。
カリ。
「はんッッ」
口元から手が外れた。
咬まれた場所がズキズキと全身に麻痺を伝える。
「首だけでイケるんじゃない」
余裕綽々といった類沢はとんでもないことを口にする。
「ふざけんな! 誰か来たらタダじゃ済まないからな」
必死に睨みつけるが、何も響いてないように彼は俺の頬を撫でる。
「そんなの心配しなくていいよ。もう部活で残ってる生徒もいないし……万が一来たとしても鍵、閉めたから」
呆然とする。
そして次に震えが襲う。
「ナニ? 怖いの。震えちゃって。口だけだね、お前」
夕日が照らすその顔は、美しく陰影を浮かべ、同時に残酷に微笑む。
そうか。
こいつは悪魔だ。
だから、会った時からあの感覚。
じゃあ俺は、今からこの悪魔に、適わない悪魔に、ナニをされるんだ?
「とりあえず、その態度から直して行くかな」
そう言って類沢は一つ一つ俺のシャツのボタンを外し始めた。