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雨とピアノとノクターン

第11章 暗躍編:おかえり

「……ったく、オレにそっくりとか超メーワクなんだよっ!」
 鳴海は最初から最後まで面白くなかった今回の出来事に不満だらけのようだ。
「でも…今思うと偶然だけど僕も大我君に偶然出会っていてよかったと思います。じゃなきゃ、今もまだ鳴海が無実の罪で停学処分のままなのに助け出すことも出来なかったから」
「そうだね…。鳴海君もそこは佐屋君に感謝をしないと。佐屋君の運の良さもかなり味方になったと思うけれど、運は《偶々》もたらされるのではなく、その人の日ごろの振る舞いと人との付き合い方も関係するからね」
 仏頂面のままの鳴海を諭すように瑠歌がそう言った。なるほど彼が言うと説得力がある。それは瑠歌の人徳のせいかもしれない。
「やっぱあれね。ルカは歌舞伎町周辺で慕われてる名医だし、分け隔てなく皆に親切だからねぇ……ふふふ」
 聞いてもいないがすっかり話題をすり替えてタカシは瑠歌を話題に乗せてのろけている。

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