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雨とピアノとノクターン

第2章 出会い編:一年生の風紀委員長

浦原誠二…彼は鳴海と同じ学年で、やはり頭脳明晰な優等生だった。たしか、風紀委員の委員長という地味なポストに治まっていた。
 でも、僕は感じていた。彼が油断ならない男であること。これはあくまで直感だった。
 実際、彼は常に先回りして僕の行く手を阻むような妨害工作を得意としていた。
 風紀委員長という表向きの顔の裏に、少数の人間を使って心理戦に持ち込む戦法が実に上手かった。

…とにかく誠二君は油断ならないってことか。
 僕はラテン語の辞書を図書室に返却に行きながら、生徒会室へと向かうのだった。
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 放課後、鳴海は校門の門柱に手持ち無沙汰な様子で凭れていた。今朝方、あんなふうに別れたが、本気で怒っていたわけではない。いつの間にか…自分の日常のなかに自然と僕との位置は定まりつつあった。
 自分が過ごす時間のなかに、僕が存在しないこと事態に違和感が生ずるようになっていたのだ。

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