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雨とピアノとノクターン

第3章 出会い編:罠

更衣室から力なく出てくる僕に、背後から何者かが声をかけてきた。
「…残念でしたね。もう少しで、学園のゴミ掃除が出来るところだったのに…」
 僕は全身の血液が怒りで逆流するのを抑えられず、振り向き様にその者を殴っていた。
 ……薬師寺だった。
「どういうつもりだ?君は僕に絡むだけじゃ不服なのか?鳴海は関係ないはずだろう?」
 薬師寺は僕の拳で口の端を切ったようだった。血がにじみ出ている。
「…やはり、鳴海君に揺さぶりをかけて正解だったか…。どうやら彼は君のアキレス腱のようだね、会長?」
「…だったらどうだというんだ?君のやったことは殺人未遂だぞ?」
「…やだな、証拠もないのに人聞きが悪い。僕はいわば、害虫駆除が出来たらいいな…と思っているだけだよ。彼がいなくなれば、現理事長も責任を取ってこの学園を去ってくれるしね…」
 そういうことか…。
「…この企みに、浦原誠二も絡んでいるのか?」
「…いいや、知らないね。彼がどうしようと、僕は知ったこっちゃないよ…」
 僕は彼の足元を思いっきり靴で蹴り上げた。騒音を立て、それと同時に彼も衝撃を隠せなかった。
「…いいか?今度鳴海に指一本でも触れてみろ?貴様を…殺してやる…」
 これから降りかかってくる火の粉をどうやって払うか?僕はそれ以上不快な彼を見ていることに我慢が出来ず、そのまま病院へと向かうのだった…。

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