雨とピアノとノクターン
第4章 出会い編:権力者
ヒンヤリとした廊下。行き交う白衣の医療従事者。点滴スタンドを持ちながら歩く患者…。
その中で僕は鳴海が運ばれた病室へと向かっていた。ナースステーションで鳴海の病室を尋ねたところ、特別室だという。
…鳴海の後見人の力がこんな些細なところにまで及んでいるということか。
ならば…僕の素性など、すっかり調べあげられているんだろうな…。
特別階に位置した個室に、彼の名が書かれたネームプレートを見つけた。
≪鳴海悠生 様≫
僕はどんな顔をして彼に逢えばよいのだろう?
ノックをして、僕はやや重い病室のスライドドアを開けた。
鳴海は眠っていた。正直、僕はホッとした。
ベッドサイドに腰掛け、点滴針が穿刺された鳴海の痛々しい腕を見ていた。
「…鳴海」
その名を呟くと愛しさがこみ上げてくる。そして、彼を守れなかった自分の自責の念が攻め寄せてくる。
「……ごめん。僕のせいだ、鳴海。僕に敵対する者たちが君を狙うことなんて、最初から予測が出来たはずなのに…」
それでも…
君が生きていてくれてよかった。
僕は鳴海の生気のない唇にキスを落とし、病室を後にした。
本当の敵、副理事長に会わなければ…。
その中で僕は鳴海が運ばれた病室へと向かっていた。ナースステーションで鳴海の病室を尋ねたところ、特別室だという。
…鳴海の後見人の力がこんな些細なところにまで及んでいるということか。
ならば…僕の素性など、すっかり調べあげられているんだろうな…。
特別階に位置した個室に、彼の名が書かれたネームプレートを見つけた。
≪鳴海悠生 様≫
僕はどんな顔をして彼に逢えばよいのだろう?
ノックをして、僕はやや重い病室のスライドドアを開けた。
鳴海は眠っていた。正直、僕はホッとした。
ベッドサイドに腰掛け、点滴針が穿刺された鳴海の痛々しい腕を見ていた。
「…鳴海」
その名を呟くと愛しさがこみ上げてくる。そして、彼を守れなかった自分の自責の念が攻め寄せてくる。
「……ごめん。僕のせいだ、鳴海。僕に敵対する者たちが君を狙うことなんて、最初から予測が出来たはずなのに…」
それでも…
君が生きていてくれてよかった。
僕は鳴海の生気のない唇にキスを落とし、病室を後にした。
本当の敵、副理事長に会わなければ…。