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雨とピアノとノクターン

第4章 出会い編:権力者

「…いえ、僕こそ、副理事長の邸宅で助けて頂き、有難うございました」
 僕は深く頭を下げた。
「…大した青年よ、ワシが警察を呼ぶことを計算しておったとはのぅ」
 堺谷は僕をじっと見ながら、気さくに話を始めた。
「鳴海は…ワシが実の息子のように大事にしていた男の忘れ形見でな。孫のように思っておる…」
「…………。」
「…だが、あの通り、やんちゃでケンカに明け暮れ、どうしようもなかったというのに、お前さんに出会ってからはそれがピタリと止んだ」
「………そのようですね」
「…ワシは最初、アイツに好きな女でも出来たのかと思うておったが、まさか…」
「……………!」
「………お前さんのような男だったとは」
「…恐れ入ります、なんでもお見通しでいらっしゃるんですね」

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