雨とピアノとノクターン
第4章 出会い編:権力者
バラバラと邸内から控えていた黒服の男たちが出てきた。
「井野口!!来いっ!」
「はっ…!!」
僕に隠れて護衛していた井野口が背後から忍び寄って僕のペンを取り上げようとした、副理事長の雇った猛者を蹴り上げた。
「…思ったとおりか。でも、副理事長、いつまでもこの邸宅が貴方の特別なるワイロで成り立つ治外法権だと勘違いなさるのはどうかと思いますが?今頃は、あなたの政敵である、鳴海の後見人が警察を呼んでこの邸内をぐるりと取り囲んでいることでしょうよ?」
「………!!謀ったか!?このッ…」
「……ごきげんよう」
僕の冷えた離別の言葉と同時に、警察がどっとなだれ込んできた。がっくりとうなだれる副理事長に背を向け、僕は邸宅を後にするのだった…。
僕が鳴海のいる病院へ戻る途中で、黒塗りの|My Bach《ベンツ》がすぐ隣にゆっくりと近づいてきた。
フィルムの貼られた後部座席の窓が滑らかに開き、一人の老紳士が顔を覗かせた。政財界ではその名を馳せる、鳴海の後見人、堺谷源一郎だった。
経済雑誌などではよく見たことがあったが、実際にこの目で見るのは、初めてだった。
「…鳴海を助けてくれたとか?あらためて礼を申そう…」
「井野口!!来いっ!」
「はっ…!!」
僕に隠れて護衛していた井野口が背後から忍び寄って僕のペンを取り上げようとした、副理事長の雇った猛者を蹴り上げた。
「…思ったとおりか。でも、副理事長、いつまでもこの邸宅が貴方の特別なるワイロで成り立つ治外法権だと勘違いなさるのはどうかと思いますが?今頃は、あなたの政敵である、鳴海の後見人が警察を呼んでこの邸内をぐるりと取り囲んでいることでしょうよ?」
「………!!謀ったか!?このッ…」
「……ごきげんよう」
僕の冷えた離別の言葉と同時に、警察がどっとなだれ込んできた。がっくりとうなだれる副理事長に背を向け、僕は邸宅を後にするのだった…。
僕が鳴海のいる病院へ戻る途中で、黒塗りの|My Bach《ベンツ》がすぐ隣にゆっくりと近づいてきた。
フィルムの貼られた後部座席の窓が滑らかに開き、一人の老紳士が顔を覗かせた。政財界ではその名を馳せる、鳴海の後見人、堺谷源一郎だった。
経済雑誌などではよく見たことがあったが、実際にこの目で見るのは、初めてだった。
「…鳴海を助けてくれたとか?あらためて礼を申そう…」