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雨とピアノとノクターン

第5章 ピアノ編:覇者の美学

「なんかさー、台場パイセンってエキセントリックな人なんだよね。で、たまたま街で君のこと見かけて、一目ぼれしたらしいヨ?アートそのものだってさ、ボクにはパイセンのアート魂ってよくわかんないけどね…」
 呆れるほどに口数の多い飛坂に、鳴海はムッとしながら尋ねた。
「その、台場パイセンってヤツ、どこにいるんだよ?だいたい、オレのことをモノみたいに賭けるの賭けないのって、すっげー腹立つ!」
「だよねー?でもさ、パイセンもあれで結構一途だったりするんだよー?君のこと、本気で好きになっちゃったみたいだしねー。ま、ボクとしては鳴海君はおんなじガッコの生徒会長とラブラブだって知っていたから、当然止めたんだけどねー」
 ラブラブと言われ、鳴海は思わず赤面した。自分と佐屋のことが他校でも有名だったなんて…驚くような話だ。
 するとそこへドアがいきなり開き、金髪頭をポニーテールにし、前髪をダラリと長く伸ばした男が入ってきた。
「あァ……………?」
 
 変なヤツばっかだな…?

と鳴海はその入ってきた男をしげしげと眺めていたが、
「あ゛ーーーーーーーーーっ!鳴海悠生じゃねーかっ!ゲージュツ的な出会いだな!」
 いきなり指をさされて至近距離で叫ばれた。
「パイーセン、うるさいですヨ?オレのことしょっちゅううるさいって怒鳴るけど、絶対センパイの方が声量ヤバいと思うなぁ…」
 飛坂はそう言いながら、涼し気な顔で手元にアヤシゲな怪獣のフィギュアを並べていた。
「…お前ら二人共うっせーよ、誰だ、てめー?」
「アンタ、オイラのこと知らなかったのか。ま、これから段々知っていけばいいからな。ここはクールな出会いを喜ばなくっちゃいけないな」

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