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雨とピアノとノクターン

第5章 ピアノ編:覇者の美学

鳴海は自分が怒鳴り込みに来たことさえ忘れそうになっていた。この二人は明らかに何処かオカシイ。頭のなかのネジが飛んでいる気がする。
「オイラは“台場翔”だ。今度、アンタを賭けてピアノ勝負をすることに決めたからなー。ま、やる前からオイラの勝ちって決まってるけどな」

 コイツが…台場?

 とてもじゃないが、ピアノを弾くような雰囲気を一切持ち合わせていないヤツだと鳴海は思った。
「ま、紹介はこんなもんだ!短くカッコよく。それがクールなアートだからな」
 台場はそういうと、いきなり鳴海の手首を取って外へ連れ出そうとした。
「こらっ!…いきなり何するんだっ?」
「なぁに、怖がることはねーよ。ここは飛坂がいてうるせーからな。語るもんも語れねーから、オイラが特別アンタのためにピアノ弾いてやるよ、クールでびっくりするぜ」

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