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雨とピアノとノクターン

第7章 文化祭編:ラストダンス

あれでは学園祭が終了するまで、佐屋はゆっくり出来そうにはなかった。

 なーんか、楽しみがあればいいのに…。

 鳴海は今日も昼休みに教室の隅で、窓からグラウンドを眺めていた。
「ねー、ねー?そういえば、学園祭のラストダンス、誰と踊るの?」
「えー!?今さらそんなコト、聞かないでくれるぅ?」
「やだーっ!!あはははは…」
 鳴海が座る席よりも、やや前方で、数人の女子生徒が楽しそうにおしゃべりをしていた。
「いいなぁ…女子は楽しみがあって」
 青葉学園の古風な恒例行事として、学園祭の後夜祭で、ファイヤーを囲んでダンスを踊るのだ。そのダンスに誘う相手は、自分が付き合っている恋人だったり、意中の人であったりする。
 ロマンチックな演出であるため、毎年このダンスでカップルが量産される…などと、揶揄されることもある。

 ふと、鳴海は想像してみた。
 佐屋のリードで踊る自分の姿…。

 …超、ありえないって。

 やっぱり、男同士では無理だな…と思う。佐屋とは公認の仲になりつつある自分ではあるが、こういった恋人間に許されるイベントに、ちょっとでいいから出てみたい…。
 そんな夢が最近芽生えつつある鳴海だった。

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