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雨とピアノとノクターン

第9章 暗躍編:トラブルメーカー

新宿北山工業高校の|坂下大我《さかしたたいが》は不良仲間のなかではかなり名の知れた生徒だった。いわゆる理由なき反抗を繰り返しつつ、特権を振りかざすエリートを憎んでいたりする。
 今日も学校の生徒指導の教師に頭ごなしに怒鳴られ、カッとなって暴れそうになった彼は危うく停学処分になりそうになった。もちろん、今の気分は最悪だった。
 そんな彼が仲間数人と一緒に繁華街の片隅で屯していたところ、突然目の前に見たことのない男が現れた。彼は自分を凝視する。
「あァ?なんだよ?なんか文句あんのかゴルァ?」
「ほぉ、君が坂下大我が?なるほどこれは傑作だ。まるで鳴海と双子のようだな」
 男はそう言うと、にやりと笑った。
「あァ?てめぇワケわかんねーことぬかしてんじゃねぇぞ?ぶっ飛ばされてぇのかよ、あァ?」
 虫の居所が悪い大我はいきなり男に殴りかかろうとしたが、素早く避けられてしまった。
「くそっ!舐めやがって」
「ははは…オレが貴様のようなゴミを舐めるだと?冗談だろう?」
「なにをっ!!」
 男は笑いながら大我の手を簡単に捻って伏せた。赤子の手をひねるように…とはまさにこのことだろう。

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