担当とハプバーで
第2章 危険な好奇心
今夜も祥里の帰宅は遅い。
私の体は求められない。
レスになってから慣れつつあったのに。
今はより、それが虚しい。
ただ家を綺麗に保ち、食料とシャンプーリンスを切らさないように補充して。
好きでもなくなった男のために。
結婚も子育ても無い未来を見つめて。
何も行動しないつもりなの。
何度繰り返したか分からない。
これからも暗中模索が続く。
ふと、広告の出会い系動画に目が止まる。
趣味を通じて出会いました。
いいなあ。
付き合って、体の関係を始めるまでのあの期間は本当に眩しい。
レスになってから夜は随分寂しくなった。
キスから始まるなんて滅多にない。
しよう、と誘うだけ誘っておいて、まずはしゃぶれと言うのが祥里のやり方。
つまらないよ、そんなの。
毎回なんて。
まるでこちらが欲しくてたまらなくて頼んでいるみたいじゃない。
ううん。
まるでそちらが仕方なく抱いてやるって言ってるみたいなのよ。
気に食わない。
それに四年も経てば興奮が冷めるのか、過労のせいなのか体力も続かない。
中で折れるなんて何度あったか。
その度こっちが気を遣う。
そうだ。
レスは双方が望まなくなってから起きるんだ。
きっかけはどちらかの拒絶だとしても。
解消しようとしないのは、どちらも望んでないからだ。
それはあまりに切ない結論。
もう夢中になる夜は来ないのかな。
世の中の長いカップルはどうしてるんだろ。
おもちゃ使ったりプレイでマンネリ回避?
レス解消で検索してみると、ダイエットや、下着の宣伝ブログの多いこと。
それから、見慣れない単語を見つけた。
ハプニングバーで鬱憤を晴らす妻ブログ。
なんだっけ。
乱交するとこだっけ。
興味本位でタップしてみる。
そこには新宿のハプニングバーでの経験が官能的に綴られていた。
「え……そんな場所ありなの」
見知らぬ男女が飲み放題のお酒を楽しみつつ、他では話せない夜事情のトークを交えて、フィーリングが合えば個室にもつれ込む。
あまりに非日常の世界。
ワンナイトの駆け引きとは違う。
最初からその気を晒して出会う場所。
半年で何十人との経験を記したそのブログは、ページをめくる指を止めさせないほどに刺激的。
年下から親ほど上の男性まで。
プレイ内容も人によって変わる。