担当とハプバーで
第3章 踏み入れた入口
水曜日の夜は何時に動画が上がるのかと、ハラハラしながらニュースサイトを眺めて通知を待っていた。
最近はアニメを見てないけど、何が流行ってるのかくらいは把握してる。
その内のどれかな、と想像しつつ。
ベッドに寝転んで脚をパタパタと、気休め程度に筋トレしつつ。
新着動画通知に、つい声が出た。
「やっと来た!」
タイトルを目でなぞる。
「金髪指定の夜明けのジャック学園て……学ランじゃん!」
それは異世界からの少女とのドタバタコメディアニメの主人公のコスプレだった。
金髪ボブに赤いマスクを顎にかけて、腕まくりした手首に青のリストバンド。
着崩した学ランは、裾が長めなとこまで再現してる。
不良設定なのに振り回されてるのが可愛いと、話題になってるのを見た。
セリフはなく、そのアニメの主題歌とともにホストが一人ずつダイジェストのように登場する。
最初の方は照れてピースする若手が次々うつり変わって、後半はナンバーに入った余裕あるホストたちが原作のポーズを真似してる。
中盤のイオルがニカッと笑うのが、小動物動画のように胸を高鳴らせた。
成人した男性のコスプレと言いつつも、卒業して十年以内が大半ぽいので、みんな様になってる。
普段短髪のホストの小顔さに気付かされる。
赤いマスクをわざと付けて、あまり顔が映らないようにしてるホストも何人か。
ハヤテは。
どんな登場をするのか。
心拍が高まる。
そろそろ出番のはず。
グッとスマホを持つ指に力が籠った。
そこに映ったのは、シャツの襟に手をかけてグイグイと広げながら、舌を出してニヤリと笑うハヤテだった。
サングラスもなく、金髪ボブだと急に気品が出て、別人のよう。
顎にかけたマスクで顔がいつもより縦に短く見えるせいか十代のようで、でも首の刺青はいつもより姿を現して凄みを放つ。
待って。
一旦スマホをベッドに伏せる。
網膜に焼き付いたように今の映像がまぶたの裏に浮かんだ。
なんだっけ。
ジブリにああいう風貌がいた気がする。
格好こそ風紀を乱してるけど、男性のボブって途端に中性的というか、空気を変える。
てか学ランだと、スタイルの良さが異次元すぎてもうまともに見れない。
あんなのが学校にいたら他の男子にピントが合うことなんて多分ない。
想像以上の破壊力に叫びたくなる。