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担当とハプバーで

第5章 呼吸もできない沼の底


 知らないよ。
 だって、ブログにはゴムの有無なんてそんな細かく書いてなかった。
 ハヤテは考えるように天井を見上げてから、私の頬を両手で包んだ。
 むに、と唇が突き出てしまう。
「凛音」
「な、なに」
 真っ直ぐな視線に心臓が騒ぐ。
 なんて言うの。
「生で咥えてくれるんなら、口に出してもいい? 嫌なら吐いてもいいから」
「え……うん」
「マジで、即答?」
 咥えてと言われた時からそのつもりなの、見透かされてなかったの。
 嫌なことなんてないのに。
 待って。
 今、すごいことを当たり前のように考えてる。
 だって……
「だって……中出し出来ないんだから。飲むくらいさせて欲しい」
 思いもよらない心の底の本音が。
 ああ、そうか。
 ゴムに不満があったんだ。
 私の中で達してくれても、ゴムの中で捨てられてしまう精液に。
 そんなこと、考えてたんだ、私。
 はーっ、と大きな溜め息が聞こえて顔を上げると、ハヤテが優しく私の髪をかきあげた。
 耳に髪をかけるように。
「勿体ねえ……こんな彼女放置してるとか」
「い、いま祥里の話やめて」
「よく名前出せたな。その祥里くんを思いながらコレ外して」
「意地わっ、る……」
「好きだろ、意地悪」
 それ以上言い返す言葉も見当たらなくて、四つん這いになってゴムの口に指をかける。
 うわ。
 玉まですごい膨らんでる。
 うねるような脈動に指が止まる。
 この中にあるのを、今から喉に。
 うなじから熱が噴き出す。
 なんて凄いこと言っちゃったんだろ。
 滑る指でなんとかブルン、と外し切る。
 むっと籠った臭い。
 薄くもやがかったゴム越しと違って、その存在の濃さに目が惹き付けられる。
 どうしよう。
 今すぐかぶりつきたい。
 その衝動を抑えて、先端を舌で舐める。
 ゴムの渋い粉っぽい味と、苦い味が混ざる。
 右手で根元を支えるようにして、ドクドクと振動を感じながら鬼頭をぐるぐる舐める。
「……は、もっと舌の力抜いて」
「ん、うん」
 ひちゃりと形に沿わせてゆるゆると。
 ハヤテの吐息が漏れる。
 カリのくぼみに舌の側面をずるりと合わせて、ゆっくり下に向かう。
 根元に触れたら裏スジにベタリと密着させて舐め上げていく。
 ざらっとした表面を押し付けるように。
「や、ば。上手すぎるんだけど」
 祥里に仕込まれたのを今だけ感謝する。

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