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クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜

第9章 黒海海戦


カタストロフマシーン、それはヴェスパーの運用プロトモデルでもあったのだ

その巨大兵器を制御してコントロールするには通常のパイロットでは不可能で、そのためエターナル・チルドレンに与えられた

これがハルフォード提督がなんとしても手中におさめておきたかった力なのだろう


一瞬でトム・アーロンは機体ごと蒸発した


その光は遠くに退避していたジョー・ディビーズやその救助を行っていた僚機たち、そな先にいたフェニックス級飛行船もろとも包んでいき、すべてがチリとなってしまうのだった…


その頃、


黒海沿岸を監視していた連邦空軍“ゾーナタ”は殲滅された敵部隊を確認していたものの、そこからどうすべきか行動に移せないでいた

バルシケル基地でラーズとローズの2人が戦場に巻き込まれた報告を受けているだけに、これ以上被害を拡大するわけにはいかなかったのだ


それは乗船しているスティーブ・グリメットも同じだ
接触を試みたいものの、娘を失ったと思い込んでいるのであまり積極的になれなかった

「ヨハネス司令殿、どうなさるおつもりで?」

「スティーブさん、あの巨大兵器は凄まじい攻撃力ですがゼントリックス軍が跳ね除けられた今がこちらから接触するチャンスだと思いませんか?危険な賭けですが」

「危険は最初から覚悟の上です
 まずはオープン回線で呼びかけてみますか」


ふたりは頷き行動を起こすことにした


視認できるギリギリの距離まで接近する

相手のメガ粒子砲のようなビーム兵器には射程距離などわからない
被害を最小限に回避できる距離まで近付いた

「こちらは連邦空軍だ、敵対する意思は無い!
 連邦空軍 北欧エリア所属“ゾーナタ”隊と」

「わたしは企業連合軍側のグリメット軍司令官スティーブ・グリメットです!
 そちらと話しがしたいのですが、いかがですか?食料、補給も用意がありますよ」


ヨハネス・リアリティとスティーブがフリー回線で話しかけると予想外の回答が返ってきた


「お父さまッ!!わたしよ!
 色んなことが有って、それよりラーズがケガをして大変なのッ!!」


スティーブは耳を疑った
死んだと報告されていた娘からの通信だ


スティーブは子供のように跳ねまくって喜び、ヨハネス司令とゾーナタ艦長のマイケル・ホーンキストは肩の力が抜けてしまった


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