クローン人間は同じ夢を見るのか 〜オルタナティブ・キイ〜
第7章 バルケシルの炎 〜イスタンブール編
ラーズ、レヴァン、ローズは斜面を駆け上がり、丘の裏手まで避難した
ベースキャンプに居たケイティはすでに荷物をまとめて車のエンジンをかけてくれていた
丘の反対側で繰り広げられている戦闘の音がこちら側にも聞こえてくる
3機のドライセン小隊は善戦していたが圧倒的な火力を前にして手が出せないだろう
それどころかバルケシルの基地まで殲滅されそうだ
「ローズ、ゾーナタに動きがあった事を伝えてくれッ!ケイティ、残りの荷物はもういい、置いていこう」
ラーズがハンディフォンを車のシートに投げる
ローズはそれを手にしたものの、視線は夜空を赤く染める戦闘エリアを見つめていた
「ラーズ、ここを離れるのはわかるけど、それは違うわ……、アレに近付くのは今がチャンスかもしれない……」
ぼうっ、とローズは空を眺めながらつぶやいた
「何を言ってん………、お前アレに取り付くつもりか……??」
ラーズはハッとした表情を見せ顔を強張らせた
ケイティとレヴァンは彼らのやりとりが何を意味しているのか理解できなかった
「ラーズ………、あれはわたしたち〈エターナル・チャイルド〉しか操れないのよ
それがカタストロフマシーンなのだから!」
ラーズもじいっと考える
スティーブ・グリメットが語っていたストーム計画の主要マシーン
目の前の子ども、ローズならそれに接触出来るのかもしれない
しかし
丘の向こうは激しい戦闘中なのだ
たしかに潜り込むのなら今がちゃんすかもしれないが……
「お願いラーズ、あの中にはわたしの姉妹が乗っているのかもしれないッ!
でも、今は何も感じないの……
まるで冷凍カプセルで眠らされているかのように……」
ローズの気持ちはスティーブ・グリメットと同じ気持ちなのだろう
ラーズは決心した
「わかった、行こう! でもチャンスは一度きりだと思えよッ!?」
「うん、ありがとう!」
「ハッ!?何いってんの君たち!!」
「今からあそこへッ!!??」
ラーズとローズの決意は固かった
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