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どうして僕たちが…

第6章 真相

「誰かいる?」

「誰もいないわよ、こんなとこ。」

キツい声がしてパッと振り向く。
そこには真っ赤な口紅をした女性がいた。
呆気に取られた。
大学にいるのだから、教職員や事務員でも無い限り学生だ。
こんな派手な化粧の教職員や事務員がいるハズが無いのだから、この女性は明らかに学生なのだろう。
なのに何だろう?
何か異質な雰囲気を感じる。
今までこの大学の女学生を何人も見てきた。
その中のどんな女学生とも違う。

「誰もいないわ。あなたと私以外はね。」

「だろうね。こんなとこに用事ある人ってそうはいないと思うよ。」

僕は自分の理由を説明はしなかった。
この女性が俺を殴った人物の可能性があるからだ。
純があの時、ここでヘアピンを拾ったと言っていた。
だから、僕は自分を殴ったのは女だと思っていた。
どうやら正解らしい。

「あなたはここに何の用事があるの?」

さて、どうしたものか。
知らないフリをするか、核心をついてみるか…さあ、どうしようか。

「別に。ただ、ここからだと教室までショートカットで行けるんでね。」

僕は取り敢えずは惚けてみることにした。
教室までショートカットするために校舎内を通る生徒は多い。
1番怪しまれにくい嘘だ。

「でも、あなた、さっきこの教室に入ろうとしていたわね。」

コイツ、全て分かってる…。
惚けても無駄だと悟った僕は核心を付くことにした。

「もう、全部分かってるんだろ?僕が見たもの正体も、僕を殴って気絶させたのも、お前だろ?」

僕はガラリと口調を変えてみせた。
先程の素っ気なさから核心をつく砕けた口調に。

「そこまで分かってるのね。」

「僕だって馬鹿じゃない。それに純がココで女物のヘアピンを拾ったって言ってた。それでお前の目的は?僕の見たものの正体も。全部関わってるんだろ?」

「あら?あの、ヘアピン、ココで落としてたのね。」

「質問に答えろ。」

その時だった。

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