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どうして僕たちが…

第6章 真相

危うくゼリーを吐き出しそうになった。

「え?なんで?」

「いや、ただ見舞いに来ただけじゃないよね。すぐに退院する予定なんだからわざわざ来るってことは何かしら僕に話す必要があることがあった。そうじゃないの?」

「なるほどね。」

流石、柊一くんねと思う。

「あの女の目的が分かったって。」

「…そうか。」

警察から聞かされた話。
あの女は自分の好みの男や女を拉致しては失神させて人形のように着飾って遊んでいたらしい。
無論、死なない程度に食事を与えながら。
ただ、その拉致された人々たちはかなり痩せ細ってやつれていたって。
その話を聞いて、改めてゾッとした。
私はとにかく純くんや柊一くんがそうなっていたら…想像もしたくない。
ただ、柊一くんは何でもないように言った。

「まあ、そんなことじゃないかと思ったよ。アイツ言ったんだ。僕には青の薔薇か黒の薔薇が似合うってさ。どっちもお断りだが。」

そう言って、私が生けたガーベラに目を向けて言った。

「強いて言うならガーベラがお似合いの方が良いな。」

その言葉にガーベラに囲まれた柊一くんを想像してしまった私はおかしくて笑ってしまった。

「柊一くんにガーベラ…なんかミスマッチし過ぎて…おかしい…」

柊一くんにはガーベラというイメージが無い。
やっぱり柊一くんには名前のとおり、ヒイラギ がお似合いだろう。 

「そんなにおかしいか?」

多分、その場にみんながいたら私に同意してくれただろうと思う。

「でもまあ、元気そうで良かったよ。」

「本当、心配掛けたね。」

私はもうそろそろお暇するかと腰を上げた。

「相沢さん、」

「何?」

「ありがとう。」

柊一くんが笑う。
私も笑顔を返すと病室をあとにした。

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