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ミニチュア・ガーデン

第2章 孤独

 彼の事を忘れたい、と思う。だがそう思いが頭を過ぎっても、本当に忘れる事など出来ない。彼が自分にとっての全てなのだ。彼を忘れるという事は、自分を忘れるという事でもあった。それをするには、時間が経ちすぎた。彼を自分の中から消し去るには、彼を求めた時間が長すぎて、自分を認識するにも、まず彼が出て来てしまう。
 彼を愛しているのが自分。
 彼の傍に居るのが自分。
 彼に求められるのが自分。
 ガルクの中にはそれしかなかった。それ以外の自分は、全て捨ててしまっても良かった。
 時の流れに取り残され、時が降り積もる中に埋もれ、甘い夢に逃げても、辛い現実を叩きつけられるだけ。
 解りきった現実を前に、何故自分はすぐに死を選ばなかったのか。思い出そうとして、自分には『ガルク』以外にも名前があった事を思い出す。
 そのせいで彼を追って死ねず、惨めに何年も生きていた。
 今ならあの時とは違う生き方が出来るのかもしれない、とガルクは目を閉じてその頃の世界を作る事にした。彼を忘れる事は出来なくとも、慰める事は出来るかもしれない。どうせ、何をしたところで、自慰以上の事など出来ないのだから。

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