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ミニチュア・ガーデン

第2章 孤独

 今のガルクに性欲と言うものはない。なぜならば、生殖行為そのものの必要がないからだ。だが、セックスのもたらす快楽と満足感、それから特別な行為であると奥深くまで沁み込んでいる。彼への想いが心を支配すると、喘ぎ混じりの荒い吐息、しっとりと汗ばんで吸い付く肌、赤みを注して上下する薄い胸、醜い欲望の象徴を求めてきつく締め付ける肉壁、と無意識に求めてしまう。いつかの性行為を思い出し、本来は必要の無い肉体が形を持って彼を求める。
「どうして、俺を一人にしたんだ……」
 力なく呟き、膝を抱えて涙を流す。殆ど無意識に創った肉体が彼を求めて疼き、胸を刺す切なさが増す。
 彼に似た有機物ロボットでも創って気を紛らわせようか、とも思うのだが、いざそうしようかと思うと萎えてしまう。やはり、彼でなければいけない。
「ラーク……苦しい……」
 石を詰め込まれた様に重苦しい胸に爪を立て、ガルクは泣きながら喘ぐ。
「置いて行かないでって、お前よく言ったのに……なんで俺を置いて行ったんだよ……」
 転がる地面もなく、拳を叩きつける事も出来ない。湧き上がる激痛をただ堪える事しか出来ない。
「ラーク……ラーク!」
 激痛に身悶え、慟哭しても誰にもその声は届かない。

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