ミニチュア・ガーデン
第3章 空洞の城
彼女の言葉に、愛おしさに似た物が湧き上がり、ガルクは優しく口付けをした。貪るようでも、啄むでもない、そっと重ねるだけのキスだ。
すると、何故だか目頭が熱くなり、零れそうになる涙を誤魔化す為に彼女の首筋に唇を這わせ、軽く噛もうとして、やめた。見える位置に情事の痕跡を残して良いほど、ガルクは彼女を知らない。
それでも、彼女に抱き締められると、悲しみの巣食う心の奥底が少しだけ暖かく感じられた。これが何という名前の感情なのか判らない。愛おしさと言うには刹那的で、安らぎと言うには欲求を駆り立てる。
「君の、名前は?」
ピンと張り詰めた乳首をしゃぶりながらガルクは尋ねる。
「んっ……ふふっ……」
彼女は甘い声を上げながらクスクスと笑い、ガルクの頭を両手で包み込んでから答えた。
「好きな名前で呼んで下さい。貴方の愛しい人でも、貴方の憎い人でも構いません」
彼女の腕の中でガルクは顔を上げ、欲情に頬を染めた顔を見る。
何かを企んでいるようにも、単純にはぐらかしているようにも、そのどちらでもなく、ガルクの求める答えを紡いでいるだけのようにも感じる。
「クウラ」
彼女に刻み込む様に楔を挿入し、名を与えた。
単純なアナグラムでしかないが、それはその瞬間に彼女の名前になった。
すると、何故だか目頭が熱くなり、零れそうになる涙を誤魔化す為に彼女の首筋に唇を這わせ、軽く噛もうとして、やめた。見える位置に情事の痕跡を残して良いほど、ガルクは彼女を知らない。
それでも、彼女に抱き締められると、悲しみの巣食う心の奥底が少しだけ暖かく感じられた。これが何という名前の感情なのか判らない。愛おしさと言うには刹那的で、安らぎと言うには欲求を駆り立てる。
「君の、名前は?」
ピンと張り詰めた乳首をしゃぶりながらガルクは尋ねる。
「んっ……ふふっ……」
彼女は甘い声を上げながらクスクスと笑い、ガルクの頭を両手で包み込んでから答えた。
「好きな名前で呼んで下さい。貴方の愛しい人でも、貴方の憎い人でも構いません」
彼女の腕の中でガルクは顔を上げ、欲情に頬を染めた顔を見る。
何かを企んでいるようにも、単純にはぐらかしているようにも、そのどちらでもなく、ガルクの求める答えを紡いでいるだけのようにも感じる。
「クウラ」
彼女に刻み込む様に楔を挿入し、名を与えた。
単純なアナグラムでしかないが、それはその瞬間に彼女の名前になった。