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ミニチュア・ガーデン

第4章 幸せへの崩壊

 世界を創造出来るガルクには、そんなやり取りは壁と話しているようなものでもあり、つまりは思った通りにしか世界は動かなかった。
 ガルクの発言のあとは、面白い程に政治界がガタガタと崩れた。
 トップになれるチャンスを与えられるとなっただけで、お偉方はガルクを引き摺り下ろそうと自分の方が優れていると言い出し、世間は阿呆のようにそれを鵜呑みにした。
 そして、課題を残したままガルクはあっさりと王位を明け渡した。政治にはもう口出ししないのが条件だ、などと言われたが、なんとも思わなかった。やりたければ勝手にやれば良い。どうせ、何をしてもガルクの手のひらの上、箱庭の中なのだ。

 王ではなくなったガルクの傍には、当然クウラが居た。
 彼女が何故城に居て、自分の名前すら名乗らずに、当然のように自分の横にいるのか、ガルクは知ろうと思わなかった。
 ボランティア活動から帰ると彼女が居て、肌を重ねてくれるだけで良かった。年を重ねて肌に張りがなくなり、皺が増え、シミが隠しきれなくなっても構わなかった。
 悪戯に耳をかじればクスクスと笑い、抱えれば背中に手を回してくれる。余計な事など言わず、新たな事をする訳でもなく、若い時と何も変わらずにセックス出来るクウラで満足していた。

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