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ミニチュア・ガーデン

第4章 幸せへの崩壊

 スルスルと服を脱がせ、全裸にした彼の体に刻まれた屈辱的な文字や痕跡に、ガルクは一つ一つキスをした。そして、許し難いその痕跡を消した。
「ラーク、俺だけを覚えろ。他は忘れて良い。正気に戻りたくないなら、それでも構わない」
 あまりに哀れな体に、ガルクは手を口で愛撫を送る。それは性欲からの行為ではなく、彼の苦しみが少しでも和らぐ様に、痛みが紛れる様に、愛情を注ごうとの想いからだった。だから、陰茎や陰嚢を口に含んだ時も、欲情せずにいられた。

 愛撫の途中で彼は目を覚ましたが、諦めを伴う疲労に何も反応を示さない。自分の体を愛でているのが誰なのか、どういう意味で愛でているのか、彼にはどうでも良いのだ。
「ラーク、解るか?」
 傷を癒し、飢えに痩せ細った体に活力を与え、ガルクは問いかける。
「殺して。死なせて……」
 それを理解し、彼の声は一層の絶望に包まれた。
 ガルクは手を止め、以前の彼が好きだと言ってくれた瞳を見せる様に見下ろす。
「ラーク、生きよう。一緒に。俺はお前を裏切らない。お前を置いて先に死なない。俺はお前を愛してるんだ」
 濁った金の瞳はガルクの青い瞳を見て、反らした。
 何を言った所で、今の彼には苦痛でしかない。愛される事も、生きる事も、希望を抱く事ですら。

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