ミニチュア・ガーデン
第5章 縋るもの
薄味のスープを口に含み、彼の口に流し込む。それをしっかり飲み込んだのを確認してから唇を離す。スプーンで口に流し込むだけでは吐き出してしまう為、毎食こうして与えなければ、彼は何も口にしないのだ。水の果てまで拒否するので、ガルクがこうするまで点滴で命を繋げていたらしい。
「死にたい……」
口にスープを含んだガルクが近づくと、彼は言った。
心の底から切望しているのだ。餓死と言う、多大な苦痛を伴う死でも構わない程に。
それでも、ガルクは彼の口にスープを流し込み、食事を与え続けた。生きていて欲しいから。彼と関係を築きたかったから。今の彼にも愛されたいと思ったから。
そうして、長い時間をかけてスープを飲み切り、ガルクは食器を片付ける。が、そこでハッと気づいて振り向く。
彼は指を口に突っ込み、今食べた物を吐き出そうとしたのだ。
「ラーク! 止めろ!」
ガルクは持っていた食器を放り投げ、彼の細い手を掴んで阻止する。戻した所で、もう一つ用意してまた食べるだけだ。彼がそれを解っていないのだろう。
「死にたい! 死なせてくれ! もう嫌だ!」
抑えこまれながら、彼は悲鳴を上げる。枯れ枝の様な手足で逞しいガルクに必死に抵抗しながら。
「生きてくれ! お願いだから、一緒に生きてくれ!」
ガルクは少しでもこの思いが届いて欲しいと、叫ぶ。
こんな風になるまで放置してしまった事が重い罪悪感となり、ガルクにのしかかる。国だ貧しい人だクウラだなど、彼に対する思いも、彼の身に襲いかかった事に比べればどうでも良い事だ。
「死にたい……」
口にスープを含んだガルクが近づくと、彼は言った。
心の底から切望しているのだ。餓死と言う、多大な苦痛を伴う死でも構わない程に。
それでも、ガルクは彼の口にスープを流し込み、食事を与え続けた。生きていて欲しいから。彼と関係を築きたかったから。今の彼にも愛されたいと思ったから。
そうして、長い時間をかけてスープを飲み切り、ガルクは食器を片付ける。が、そこでハッと気づいて振り向く。
彼は指を口に突っ込み、今食べた物を吐き出そうとしたのだ。
「ラーク! 止めろ!」
ガルクは持っていた食器を放り投げ、彼の細い手を掴んで阻止する。戻した所で、もう一つ用意してまた食べるだけだ。彼がそれを解っていないのだろう。
「死にたい! 死なせてくれ! もう嫌だ!」
抑えこまれながら、彼は悲鳴を上げる。枯れ枝の様な手足で逞しいガルクに必死に抵抗しながら。
「生きてくれ! お願いだから、一緒に生きてくれ!」
ガルクは少しでもこの思いが届いて欲しいと、叫ぶ。
こんな風になるまで放置してしまった事が重い罪悪感となり、ガルクにのしかかる。国だ貧しい人だクウラだなど、彼に対する思いも、彼の身に襲いかかった事に比べればどうでも良い事だ。