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ミニチュア・ガーデン

第5章 縋るもの

 心神耗弱の状態で呆然としている事が多く、最初からそこに居れば良いだけの傀儡。夜の女達も、行為をするだけで互いになんの感情もなく、誰にも必要とされず、ガルクはどこに居ても、何年経過しても孤独なまま。
 もう、その頃から彼を強く求めていた。彼が生きていた証は、遺書のみ。寂しさに涙を流すガルクに、手を差し出す人物は、誰一人としていなかった。

「ラーク……」
 体温の無くなった彼に呼びかける。反応などあるはずがない。
 いつから自分が変わったのかと思ってみたが、何も変わってないと確認しただけだった。彼の代わりはいないのだと再確認し、彼が居なければ自分は孤独なのだと再認識する。
「どうして、お前は俺を置いて死んだんだ? 俺を好きだって言うなら、どうして俺を殺してくれなかったんだ? 俺がどれだけお前を愛したか、知ってただろ?」
 唇を震わせ、激情に喉を詰まらせ、ガルクは彼に問う。答えるはずのない彼に。

 そして、世界は形を失い、黒い霞に沈んでいく。
 クウラが何をしているのか、さっきレイプした男はどうしたのか、ラークの起こした事件の真相はなんだったのか。
 ガルクには、どうでも良い事だった。彼のいない世界は、存在しても意味がなかった。

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