真夏の夜の夢
第8章 第七夜
宿帳に署名しながら
受付けをしてくれた女将に
「この旅館…出るんですってね」と
私、瀬川麗子はさりげなく女将さんに尋ねてみた。
「またそれですか…
冗談じゃないですよ、
そんな噂を広げないでくださいね」
変な噂が立ったら客が来なくなりますから
女将さんは迷惑だとばかりに
「そんなもの、出るはずないじゃないですか」と
不機嫌そうに答えた。
それほど真剣に否定するところをみると
やはり出るのね!
私は期待に胸膨らませて夜を待ちました。
その夜の事です。
蒸し暑い夜でした。
私はお腹の上にだけ
薄いタオルケットをかけて寝ていたのですが、
深夜2時頃、何かが私の素肌の脚に触れたので、
目を覚ましました。
古めかしい宿の、
常夜灯だけがついているうす暗い部屋の中で、
私は人の気配を感じました。
私は起き上がろうとしましたけど、
その瞬間、私の体は固まってしまいました。
そう、私は金縛りになってしまったようです。
私は浴衣の中に
とても冷たい人の手の感触を感じました。
怖くて目を開けることさえ出来ない。
その手は私の乳房をゆっくり揉んだ後、
私の乳首を擦り始めました。
あっ!いやっ!
何なの?これ?
これがそうなの?
私、幽霊に犯されるの?!
恐怖と快感が私を襲います。
怖い!いや!やめて!
でも…あ…感じてしまう…あ!!
でも私には体を動かすことはできません。
私は瞼を開けようかどうか迷いました。
でも怖くて、
その何者かが私の下半身を触ってきてるのに
目をギュッと瞑って開けられませんでした。