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真夏の夜の夢

第10章 終焉


これで全てでございます
いかがでございましたか?
物書きのネタになりましたでしょうか?


いや、あと一本残っているじゃないか
最後の話を早く聞かせておくれよと
作家先生は催促した。


いえ、最後の一本は
作家先生様に身をもって体験していただこうかと…


そう言って女将は妖しく微笑むと
頬を膨らませて
フッと蝋燭の火を吹き消した。

すっかり度肝を抜かれてしまった作家は
首筋に冷たい汗が流れ落ちるのを感じていた。


あらあら、そんなに怖かったですか?
長々と私のお話を聞いて頂きありがとうございます
それでは、お約束のとおり、
今度は熱い一夜を過ごそうではありませんか。
あらあら、すっかりご自慢の息子さんが縮こまってるじゃありませんか

いえ、いいんですよ
その方が私も勃起させてあげる楽しみになるんですもの
ええ、ええ、大丈夫ですってば
こんな姥桜でも吸ったり舐めたりは
若い子には負けませんから。
ほらほら、作家先生様も私のお股を心ゆくまで舐めてくださいませ。

えっ?
もうセックスする気が失せてしまいましたって?

ダメですよ、ちゃんと私を逝かせてくれないと
成仏出来ませんからねえ

えっ?成仏ってなんのことだって?

いやですよ、作家先生様とあろうお人が
成仏の意味を知らないんじゃ困りますよ

ええ、ええ、お気づきかと思いますが
私はこの世の者ではございません。

えっ?化け物?
まあ!ひどい!
それでは作家先生様も化け物になればよろしいではありませんか。
そう、二人で仲良く手を繋いで
三途の川を渡りましょ。
これが最後の一本の蝋燭の後始末ですわ…


翌日、荒れ果てた廃墟のような建物で
一人の作家の死体が発見された。

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