DOLL(愛しきラブドール)
第1章 ラブドールを拾った
俺たちは未舗装の山岳道路を
軽トラで登っていた。
「おっ!冷蔵庫見っけ!」
助手席から先輩の三村崇が
嬉々とした声を上げた。
俺たちは
リサイクルショップに勤めている回収班だ。
時々こうして山道を軽トラで走って
不法投棄されている家電を見つけては
故障箇所を治して店で高く売りつける。
ほっておけばただのゴミだが、
まだまだ使えるやつが
イヤというほど棄てられている。
最近ではリサイクル料金を支払うのがイヤなのか
テレビや冷蔵庫が
かなりの確率で棄てられていた。
「おい見ろよ、こいつなんかキズはないし、
とりあえず動けば高額で売れるぞ!」
路肩に軽トラを停めて俺たちは
冷蔵庫を持ち上げた。
「うわっ!!」
俺は危うく手を滑らせて冷蔵庫を落としかけた。
「バカっ!しっかり持てよ!」
先輩が叱責したが
手を滑らせかけたのには理由があった。
「せ、先輩、これっ!?」
持ち上げた冷蔵庫の下から
ゴミに埋もれた女体が現れたせいだ。