DOLL(愛しきラブドール)
第3章 誰も信じてくれない
その後、季実子さんは終始機嫌が悪かった。
渋る季実子さんを車に押し込んで
俺は先輩と季実子さんを
部屋に迎え入れることとなった。
部屋のドアを開けると
彼女は穏やかな微笑みを浮かべて
ソファに座っていた。
「おい!起きろ!お客さまだぞ」
少しだけ部屋が散らかっているが
今さらどうしようもない。
「さあ、どうぞ、俺の彼女を紹介します」
俺は先輩と季実子さんを招き入れた。
「おっ!洗ってやったんだな。
昨日より綺麗になってるじゃないか」
先輩はそう言って彼女の隣に
ドカッと腰を降ろした。
「西嶋くん、間違っていたらごめんなさい
もしかして、この人形があなたの言ってる彼女?」
状況を飲み込めないのか
季実子さんは呆然と立ちすくんで
彼女を眺めている。
「人形じゃないです!
彼女は生きているんです!」
失礼なことを言う女だとばかりに
俺は季実子さんを睨んで言ってやった。