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『エリーゼのために…』

第1章 エリーゼのために…

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 いつもの、おちんちんのある女の子ではない…

 男の駿としての射精であった…

「あっ、あぁぁ…」


「はぁ、はぁ、はぁぁ…」
 本当に気持ち良かった。

「そう、気持ち良かったのぉ」
 と、僕の心を読んだ葵さんが、抱きつき、キスをしながらそう囁いてくる。

「は、はい、気持ち良かったです」

「じゃぁ、良かったわぁ…
 たまにはさぁ、男の子としても気持ち良いんじゃないの?」
 
 だが…

「………」

 僕は、いや、最近の僕は…
 女の子の方がいいみたいなんだ。

 そう、おちんちんのある女の子の方が…

「ふぅん、そうなんだぁ…」
 すると、また、僕の心を読んだ葵さんが、そう呟いてくる。

「あ、はい…」

「わたしもぉ、どちらかといえばぁ、女の子の、ううん、おちんちんのある女の子のしゅんの方が好きかなぁ」
 葵さんはそう囁きながら、更に僕に抱きついてきた。

 だから、僕は、返事の代わりにそんな葵さんをギュッと強く抱き締める…

「ああん、しゅん、気持ちいいわぁ」

 葵さん大好き、愛してます…
 僕は強く抱き締めながら、葵さんを見つめ、心の中でそう囁く。

「あぁ、わたしもよぉ…
 しゅん、ありがとう、嫌な事を忘れられそうよぉ…」

 葵さんの嫌な事…
 それは今朝の通学電車内での二人の男に前後に挟まれ、されてしまった痴漢行為。

 あぁ、男なんか…
 男なんて…
 大っきらい…

 そう、僕の心の中に響いてきた。


「しゅん、ありがとう…」


 だが…

 どうやら葵さんは、その嫌な事…

 つまり、電車内でされた痴漢行為が…

 忘れられなかったようであった。



 葵さんは…

 その次の日から、高校に行かなくなってしまったのだ。






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