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おとなの女性の為のえっちな恋愛カタログ

第7章 カタログ NO 5 秘密の個人授業 後編

その部分はどうだと
尋ねられてしまって
若葉は返答に困って
返事を獅堂に返せないままだった

自分の口が…言葉を忘れた
赤子にでもなったかの様に

返事を…返す事が…出来な…くて…


たった一言でいい

たった 一言だけでいいのに

たった一言 言ってくれればいいのに

その一言を貴方が俺に言ってくれれば

それだけで その一言だけで

貴方と俺の間にある

教師と生徒の垣根なんて

あって ない 様な物になるのに


「…でも、まだ…震えてる」

そう言って
さっきまでの強すぎる抱擁が
優しい包み込むような抱擁に変わって

スルッとその彼の手が頬を撫でて来る


「獅堂、…大丈夫…だから、これも
しばらくすれば、落ち着く…だから…」

「それを、止めて貰えませんか?先生」


耳元でそう優しく囁きかけられてしまって

その獅堂の言葉に抗うなんて

もう これ以上は… 私には出来ない


もう…


私の目には 彼は…

生徒には見えてないし


今の私は彼に 

教師の顔を向けてないから


「…無理な事を、言わない…でッ」


口で紡ぐ言葉は否定的な言葉だとしても

じわりじわりと 懐柔されていて

外側からゆっくりと 陥落させられてしまっていて


彼を自分から引き剥がそうと
その胸を自分の両手で押し返すが…

その腕に力が上手く入らないのは

怖くて震えてるからなんかじゃなくて


「俺じゃ…、頼りにはなりませんか?
貴方に頼られたい…、貴方の
助けになりたい、貴方を…支えたい。
若葉………、先生」

一瞬 下の名前を呼ばれたのかと

ドキッとしてしまって

ソワソワとして落ち着かない

呼ばれた…いと 思ってるの?

「そんな事を、お前に…して貰う
必要なんて…無いっ…っ、ぅ…
無い…って、言ってる…のにッ」

「そのまま…、もっと、見せて…欲しい。
今の、貴方の、その顔が…見たいから」

ポロっと堤防が決壊したかの様に

目から一筋 涙が零れて落ちて

スルッとまた指先で

その涙を拭われてしまう

でも もう 自分でも止める事が出来なくて

次から次に溢れて零れて 落ちて行く

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