
おとなの女性の為のえっちな恋愛カタログ
第7章 カタログ NO 5 秘密の個人授業 後編
でも この零れる落ちる
涙の意味は 恐怖の感情だけじゃなくて
この行き場のない感情が流させていて
「怖かった…?」
「…う…っ、…ふ…、……ぅん」
ちゃんとした言葉にも出来ずに
抱きしめられたままで
小さな子供にでもなったみたいに
そう問われて頷くしか出来なくて
ぽんぽんと頭に手を添えて
よしよしと撫でられてしまって
そんな風に誰かに頭を撫でられるなんて
もうそんな事は随分と久しい気がして
「……獅…堂」
「総一郎…ですよ?」
そんな事を言われなくても
フルネームは知っている
「大丈夫ですよ、先生。
貴方は俺に…、弱みに
付け入られたとでも言えばいい」
頬を撫でていた
指先が残って居た 若葉の目の
零れ落ちる前の涙を拭って
その涙で濡れた 親指の腹で
若葉の唇の
形と柔らかさを確かめる様にしてなぞる
ぴくッと小さく
自分の腕の中で その身体が跳ねるから
可愛らしい…と感じてしまった
「ぅう…っ、獅堂…、やっぱり
どうにも、お前は…ズル過ぎる気がする…ッ」
「ズルいんじゃない、したたかなだけです」
くすっ…と 総一郎が小さく笑うと
「いや、訂正しておきます。
俺はやっぱりズルいかも知れませんね?
先生。だから…貴方は俺に貴方を
許さなければいい。拒み続ければいい。
若葉先生、貴方が今まで
俺にそうしてた様にして、そうすればいい」
そう言って来て 浮かべている表情は
高校生のそれではなくて
私に対して 言って来るその言葉は
どこまでも どこまでもに
ズルい感じでしかなくて…
こんなの…勝てる気がしない……し
全く持って して来ない…から
ちょん…と 今度は人差し指の先で
若葉の唇に総一郎が触れて来て
その人差し指の腹で
唇に圧を掛けて軽くにだけ押して来るから
「さっきみたいに、俺の身体…
押し返さないんですか?先生」
こっちが抵抗を出来ない事を良い事に
総一郎が整ったその顔を
こちらの顔に近付けて来るから
「ずっ、…ズル…いって、言ってるの…にッ。
あんな風に…、言われちゃったら、私はッ」
「どうしていいのか、分からない?
だから、さっき俺が言ったみたいに
すればいいだけですよ?若葉…ッ」
