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「ん？どうかしたのか？宇梶」

「てかさ、帰り駅前のマック行こうぜェ。
俺、腹減ったわ。月見食べようぜ？」

「それは行くしかないだろう？
行くに決まっている！
な？宇梶、君も当然行くだろう？」

駅前のバス停にバスが到着して

トンとひとり　先に宇梶がバスから降り立つと

「わっりぃ。俺、用事あるみたい」

ヒラヒラとふたりに手を振って
駅前の広場の方へと向かっていく

その後ろ姿を石黒と獅堂が見送って

「今日は、駅前の女の気分だとよ。
んじゃ、俺とお前で、マック行くか？」

駅前の女と石黒が言って

「まだ続いてたのか？駅前の彼女とは。
前に、別れたと言ってなかったか？
コンビニの彼女の前か？」

「んー？ああ、コンビニ？
そっちとは、今は別れて
あっちにも新しい彼氏居るんだとよ」

そう駅前の彼女の話をしながら
バス停からほど近いマクドナルドに向かう

お目当ての月見バーガーのセットを注文して

外側の通りに面して
カウンターの様になった座に
ふたりで石黒と獅堂が並んで座った

「駅前の方と、ヨリを戻したのか？」

「いんや、お互いに身体だけって…
聞いた気もしねぇでもねぇが。
俺も、どれがどれか知らね。
お前はどうなんだよ？
あの例のバスの女はよ」

そう石黒が獅堂に尋ねると
獅堂がフライドポテトの長いヤツを摘まんで
フリフリと円を描いて回すと

「見ただろう？彼女は俺の事なんて
眼中になんて無い様に見えるがな？
彼女の視線は、俺達を見ては居るが…
その中の、宇梶を見てる…からな」

「あいつばっか…でもねぇか。
お前もお前だわな、相変わらず。
お前の噂も色々聞くしな」

「で、石黒。宇梶の駅前の彼女は
どの駅前の彼女なんだ？」

マクドナルドの大きな窓から
駅へと向かって歩く
來未の姿が見えて

「なぁ、獅堂」

「何だ？石黒」

「お前さ、んな、変な所で遠慮しすぎ。
アイツに食わせて、飽きてからとかって
そんな口かよ？どうなんだ？」

「石黒っ」

そう口調を獅堂が荒くしたので

「ヘイヘイ、律さんが
ナゲット奢ってやるから怒んじゃねぇの」

ふんっと獅堂が
ふんぞり返ると

「まぁ、怒らせたのもお前だろう？
律さん、ナゲット、ゴチになるぞ」

「ヘイヘイ、買ってくらぁ」