無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

ひとつ　また　ひとつと

私は彼に　何かを許して

受け入れる度に

少しずつ　少しずつ


マトモじゃなくなって行って


少しずつ　歪んで行くの



ユガミノクニ




その歪みの名前は
彼も私も知らない何か…



ドアチェーンを外して
玄関のドアをガチャっと開いて

部屋の前で待っていた
宇梶と石黒に声を掛ける


「すいません、お待たせしてしまいました。
総一郎さんの方に、確認が取れましたので。
お入り下さい。まだ時間がしばらく
掛りそうだと言っていたので。
お待たせしてしまいますが…」

「ああ、いいっていいって。
えっと、沙夜ちゃんだっけ？
獅堂が戻るまで、
俺らと話しでもするでしょ？」

２人をリビングに案内して
コーヒーを淹れる用意をし始めた

「すいません、ドリップに
時間が掛かるので、お待ち頂いても？」

「ああ、適当にお構いなく」

沙夜がそう言うと
石黒が気は遣わなくていいと
言いたげにそう言って来た

何度かここには来てるようで
２人はこの部屋に馴染んでいた

「沙夜ちゃんはさ、
獅堂とは付き合ってどれぐらい？
獅堂の今までの彼女の話、聞いた？」

「アイツ、ちょっと変わってるだろ？
だから、大体ひと月も持たねぇけど。
イキナリ同棲って言われて、
驚いたんじゃねぇの？アンタも」

沙夜が深めの大皿に
ペーパーナプキンを敷いて
その上に個包装になった
お菓子を適当に盛り合せて行くと

２人の前にどうぞと言って置いた

「いえ、私は付き合う前から一緒に
生活していたので…特には」

沙夜からの返答に
石黒が目を丸くさせて居て

「あん？ってぇと？」

言葉の続きを促して来たので

「家に戻りたくなくて、
ふらふらしてたんですが、その
訳があって、自分で部屋を借りたりも…
出来なくて、困っていた物でして…」

「えっとぉ、沙夜ちゃんの
お家がちょっと複雑って事？」

「行く当てがあった訳じゃないので、
総一郎さんに拾って貰って助かりました」

そう言えば…大分前に
落ちてたから拾って一緒に寝てるって
言ってたっけ　獅堂のやつ

犬か猫でも拾ったのかと思ったがよォ

人…拾ってやがったのか　アイツ


「そ、だからなの？」

そう宇梶が沙夜に質問して来て