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お人好しは何かと巻き込まれる

第8章 人狼族との出会い

人狼族の集落では人間と和平条約を
結ぶかどうかで言い合いになっていた。

「人間にへりくだるなんて真っ平ごめんだ!」

「へりくだるわけではない。和平だ。
同等の立場になり、交易を広げるだけだ」

言い合っているのは人狼族の頭首と
その息子のレクトであった。

「そんな都合良くいくわけないだろ!
兄貴もそう思うだろ?」

兄のリヒターは親子で言い合うのを
黙って聞いていたが意見を求められ口を開く。

「俺は和平に賛成だ。
去年雨が多かったせいでこのところ
食料が少なくなってきているし

人間の作った品物はどれも素晴らしい。それに…
人間も悪い奴ばかりではないぞ」

「そんなわけないだろ!
どうせ俺達を乱暴な獣としか思ってないだろ!」

人間に冷たい態度ばかり取られてきた
レクトは和平などせず今までどおり過ごしたかった。

だか、頭首である父と次期頭首だと
言われている兄リヒターは村の未来の事を考えると
人間との交流が必要となっていることに気づいていた。


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