はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第7章 『静と言う名の女とオムライス』
『あのね…、仁君のお友達を疑うのは
良くないとは…、私も…思うんだけどね…?』
そう前置きの様にして、静が話を始めた。
『仁君のお友達がね、
お家に遊びに来るとね…
私の下着…が…その…、
無くなっちゃう…みたいなの…。
だから…その、お友達の…誰かって…、
そんな風に…疑ってるんじゃないのよ?
干してる下着も…時々ね、お買い物の間に
無くなってる時があるから…。でもね、
今日はね、…私のお気に入りの…
紫のが…無くなっちゃって…、
ちょっと寂しいなって思っちゃったから…。
仁君が…言いにくいんだったら、
私から…井口先生に…お話しようかなって…』
『待ってッ!静さんッ、
せ、先生は…ッ…止めて下さいッ…。
静…さんッ、僕が…どうにかしますからっ』
『そうよね、先生にお話しちゃったら
その子も…クラスで…
居心地悪くなっちゃうもんね…』
僕が、静に対して先生に相談するのは
止めて欲しいと言ったのは。
決してその下着泥棒の犯人が学校に
来にくくなるとかを心配したのではなくて。
静の事を、いやらしい目で
井口が見て居たからなのだが。
そんな相談を、静があの井口にしたら。
それを口実に家に上がり込んで、
静に何をするか…分かったもんじゃない…し。
この件は自分が解決すると、
気が付いた時には言ってしまって居た。