はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第7章 『静と言う名の女とオムライス』
そう言って…静が仕事に行って、
家の中は…僕一人だけになった。
分かった事は、親父は…
今の生活を止めるつもりはないし。
お袋もお袋で、元の生活に戻るつもりは無いって事で。
僕の意見は…、ふたりにはどうでもいい事で。
2人だけで相談して決めてしまって、
既に解決してしまってたんだなって。
はぁ…っと僕は…勉強机に向かいながら、
広げたノートに向かってため息をついた。
『親父から…出て行けって言われるのも、
時間の問題…かもな…』
説明らしい説明を何もしない、親父との
家族と言うよりは同居人とか
居候の様な…生活は…僕の中の何かを
少しずつ…小さな聞き取れない様な音を立てながら、
少しずつ…、歪めて行って居た。
僕本人にも…気付かない位の速さで。
それでも…、少しずつ、確実に…。
それは僕を…替えて行って居た。
何時もの様に宿題を済ませて、
夕飯の時間まで自分の部屋で自己学習をして。
夕飯の時間になったから、一旦それを切り上げると。
2階から階段を降りて、キッチンへと向かった。
キッチンの冷蔵庫を仁は、開くと。
冷蔵庫の中には、キチンとラップを掛けた
オムライスが2つ入って居て。
『………』
オムライスを取ろうとして、そのまま
身体が石になったみたいに固まってしまった。