はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。
第5章 『未亡人の奥様の白鳥様』
茂木は…、夫婦円満本舗からほど近い
商店街をある場所に向かって歩いていた。
目的地は100円ショップだ。
何を買いに来たかと言うと、
今度の沢野様の所のお誕生日の
部屋の飾りつけに使う材料の仕入れだ。
この辺りは、あの事務所から徒歩圏で
立ち飲み屋や飲める店が裏通りにあるから。
探偵を…あそこで、父と祖父と
してた時も…この辺りには良く飲みに来ていた。
僕が…白鳥さんの奥さんと知り合ったのも、
良く…3人で…飲みに行っていた居酒屋で。
その頃は…、まだ…美幸さんは…35で。
今から…丁度…8年前になる…か…。
かなり…、その時の美幸さんは
酒を飲んでいて酔って居たらしく。
思い切り…亡くなったご主人の名前を呼びながら。
俺の…親父に抱きついて来て。
親父の身体に縋り付いたままで、
わんわんと泣き出してしまった美幸が
落ち着くのを待って話を聞くと。
2年前に不慮の事故で亡くなってしまった、
美幸の夫に俺の親父がとても似ていたので
思わず抱きついてしまったのだと…。
目を真っ赤にしながら、話していた。