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はい。もしもし、こちら、夫婦円満本舗です。

第32章  『旧レイン邸宅にて』



バンケットルームを出て、
旧レイン邸宅の廊下を
森園…今は伊藤美海の腕を
掴んだままで森園の夫である
伊藤雄介は進んで行く。

「痛いっ…、ちょっと、ゆーすけ。
痛いって言ってんの!!
ゆーすけ?耳聞こえてない訳ッ??」

「……………」

バンケットルームを出てから
廊下を移動している間
伊藤雄介は無言のままで
森園の腕を痣が付きそうな強さで
握ったまま引っ張っていて。

森園がそれを痛がるのは当然なのだが
森園が伊藤にそれを止める様に
訴えかけた所で、伊藤の手が
緩むことは…無く…。

先頭を伊藤雄介、その伊藤が
腕を掴んでいるから森園は
伊藤の後を着いて行くしかなく。
その森園の両サイドには
前嶋と小林がサンドしている状態で
森園の逃げ道を塞いでいる。

そして僕はと言うと…森園に
唯一…残されている後方の逃げ道を
数歩後から塞ぐように歩いている。

「はぁ?ちょっと…アンタッ…、
さっき会場にいたカメラマンでしょ?
なんで、アンタも着いて来てんの?
アンタはあっちで自分の仕事しなさいよ。
私の写真まだ撮り足りないって言うの?」




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