いつか、絶望の底から救い出して…
第6章 Mの正体
『それでは入ってみましょう。Mさん。取材に来た河津(かわつ)です。本日はよろしくお願いします』
河津と言う人がドアをノックする。
すると中から「どうぞ」と返事が返って来た。
「え……」
アタシはその声に違和感を覚えた。
え……なんか舞希の声に似てない? Mって人……
まさかね……そんな事は無いよね?
舞希がM、なんて事……無いよね?
アタシは自問自答をしながら動画を見続けた。
『入りますよー』
河津がドアをゆっくりと開ける。
それと同時に、アタシの心臓がドクンドクンと高鳴る。
動画に映る人物は誰なのか……
Mの正体は誰なのか……
気になって仕方がない。
でも同時に、正体を知ることが怖いと思ってしまった。
『本日は取材ありがとうございます河津さん。初めましてイラストレーターのMです』
動画に映った人物は白い西洋風のロングコートに、淡い金髪をハーフアップにしてる青年だった。
瞳の色は血のような赤色で、整った顔立ち……
「ウソ、でしょ……」
それは今目の前にいる舞希の姿だった──