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憂鬱な淫夢…

第4章 来ちゃった…

 ① 金曜日の夜に…


 金曜日の夜…

 上司に誘われ酒を飲み、なんとか終電にギリギリ間に合った。

 そして、下車駅前のコンビニで夜食のカップラーメンを買い、徒歩10分の自宅マンションへと歩いて帰る。

「ふうぅ…」

 夜風が心地よい…
 まだまだ昼間は暑いのだが、やはり夜風は秋の匂いがする。

 もう九月も半ば過ぎ…

 秋なのだ。

 そしてマンションのエントランスに到着し、エレベーターに乗る。
 このマンションは築25年過ぎの10階建ての安普請だ。

「ん?…」
 エレベーターに乗ると、住人の女性の香水なのか…
 残り香を感じる。

 あれ、なんとなく嗅いだ記憶が?…
 気のせいと想いながら、自分の部屋のフロアに降りた。

 そして廊下の角を曲がる…

「あれっ?」

 俺の部屋の前に…女が立っている。

「うふ、来ちゃった…」
 すると女は振り返り、そう呟いてきた。

「あ…」

 そう、彼女だ…

 いや、奴だ…

 この前の女装美少年だ…

 くそっ…

 いい女に見えやがる…



「あっ、今、いい女だなぁって思ったでしょう…」
 すると、艶やかなピンクのリップグロスの唇がそう囁いてきた。
 
「え、お、思ってねぇよ…」
 ドキッとしてしまう。

「一週間振りよねぇ、寂しかった?」

 クソっ…

 声までハスキーな女の声に聞こえやがる…

「なんかぁ、寒いわぁ、早くぅ、中にぃ入れてよぉ」

 そう言う奴、女装美少年は…

 肩までのサラサラ髪…

 シルク風の白いブラウス…

 ややタイト気味な膝丈の黒いスカート…
 
 魅惑の光沢のナチュラルカラーのストッキングを穿き…

 そして艶やかな黒いハイヒール…
 

 出来るOL風のファッションであった…




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