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私達の初体験

第1章 果歩の場合

同じ歳の彼氏がいるってだけで、周りには羨ましがられる。

井上拓海君。

同じ学年の中では、イケメンの部類に入る人が、なぜ私と付き合っているのだろう。

それは付き合って一年になる私にも分からない。


「ほら、あの子でしょ。井上君と付き合ってるの。」

「ええ?普通の子じゃん。」

まただ。

廊下ですれ違う度に、私は拓海君の彼女ってだけで、陰口を叩かれる。

最初は傷ついたけれど、最近は言わせておけばいいと思っている。

それは……

「果歩。」

「拓海君……」

手を挙げて私に近づいて来る拓海君。

「どうしたの?」

「一緒に帰ろうと思って、待ってた。」

この爽やかな笑顔が、誰よりも近くで見れるからだ。

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