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ラブホテル

第1章 ラブホテル


「…あ……」

 目覚めると、隣に誰かが眠っていた…

 あっ、痛ぅ…
 そして激しい頭痛と喉の渇きを自覚し、慌ててキョロキョロと目を上下左右に動かしていく。

「え…」

 あ、こ、ここは…

 ラブホテルだ…

 紫の壁、至る所にある鏡、そしてギラギラと趣味の悪いシャンデリア…

 確か…
 昨夜は会社の飲み会があって…
 二次会にカラオケ行って…
 ああ…
 その後の記憶がない…
 ドキドキドキドキ…
 急に、心が高鳴り、焦燥感と自虐感が湧き起こってきた。

 あっ…
 慌てて布団の中を覗くと、キャミソールとショーツは…
 履いている…

「ん?…」
 そして隣を覗くとお尻が見える、スッポンポン、裸であった。

 ん?…
 わたしは下着を履いているいるが、隣は裸…

 ん?…
 ヤッたのか?、ヤらなかったのか?…

 思わずショーツの中に指先を忍ばせて確認してみるのだが…
 分からなかった…

 で、一体隣は誰なんだ?…
 向こうを向いて寝ているからイマイチ解らない…

 か、会社の男だよね…

 え、でも、この髪の毛の長さ、色艶は…
 誰?…
 こんな男いたんだっけ?…

「…ん…んーん……」
 えっ、その声は…
「…ん、うん、あ…おはよう…」

「えっ」
 女?…
 え…

 先輩っ…

 そう寝ていたのは同じ課の女性の先輩であった…

 ええ…

 まさか…

「うふ…もう、昨夜は激しくてぇ…」
 恥ずかしそうにわたしを見つめ、そう囁いてきた。

「ええっ…」
「もぉ、やだわぁ、覚えてないのぉ」

「………」
 全く覚えてない…
 カラオケの途中からの記憶が無い…

「もぉぉ…」
 先輩はそう呟きながらキスをしてくる。

「あっ、ち、ちょっと待っ…あっ…」
 その先輩の唇が触れた瞬間に、一気に記憶が蘇ってきたのだ。

 あ…
 どうやらわたしが誘った様であった…

 まさか…

「もお、激しくてぇ、あんな事初めてぇ…」
 先輩は恥ずかしそうに、そして、潤んだ濡れた目をしながらそう囁いてきた。

 そして枕元には、大人の玩具が転がっていた…

「もぉ…」

 ここはラブホテル…

 わたしは…
 開き直るしかない…
 
 理由は解らないが…
 これが現実だ…
 開き直って、腹を括る…

 よし…

 覚えてないなら…


 思い出すまでだ…




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