冴ゆる月(Winter moon)
第11章 酒淫(しゅいん)
④
「ま、マジですか…」
わたしは思わず、そう呟く…
「マジ…」
「本当だから…」
「う、うわぁ、最低だぁ…」
わたしはそう呟き、そして一気に、激しい羞恥心に襲われ、包まっていたシーツを頭まで被ってしまったのです。
そしてそんな自分の中の隠された、いや、初めて知ったもう一人の自分の様子に愕然としてしまっていた…
愕然…
違うかも…
この時は、絶望だった…
「ほら、よく酒乱って云うじゃんか」
「………」
「お前は、アレだな…」
アレってなんだ?…
「酒淫だよ、しゅいん…」
するともう一人の男の人が笑いながら、そう言ってきた。
「しゅ、酒淫…」
「そう、酒に淫らって書いて酒淫、しゅいんだ…」
と、彼らは明るく、そして笑いながら軽い気持ちで言ってきたのだろうが…
わたしには、とても笑えない…
初めてのお酒で大失敗をし…
大切な処女を失くした記憶も無く…
本当に最悪な大学デビューとなってしまった…
そしてわたしはそれからの四年間の大学時代のあだ名が…
淫ちゃん…
酒淫のいんちゃん…
インちゃん…
さすがに淫を消してくれての
『インちゃん』となった…
三年後…
「ねぇ、先輩」
「え、なに?」
「なんで先輩は『インちゃん』ってあだ名なんですかぁ?」
後輩が訊いてきた。
「え、あ、そ、それはね…」
『インパクト』があるから、インを取っての『インちゃん』らしいのよね…
全くの嘘なのだが…
さすがに本当の由来は云えなかった…
『酒淫の淫ちゃん』だなんて…
「ま、マジですか…」
わたしは思わず、そう呟く…
「マジ…」
「本当だから…」
「う、うわぁ、最低だぁ…」
わたしはそう呟き、そして一気に、激しい羞恥心に襲われ、包まっていたシーツを頭まで被ってしまったのです。
そしてそんな自分の中の隠された、いや、初めて知ったもう一人の自分の様子に愕然としてしまっていた…
愕然…
違うかも…
この時は、絶望だった…
「ほら、よく酒乱って云うじゃんか」
「………」
「お前は、アレだな…」
アレってなんだ?…
「酒淫だよ、しゅいん…」
するともう一人の男の人が笑いながら、そう言ってきた。
「しゅ、酒淫…」
「そう、酒に淫らって書いて酒淫、しゅいんだ…」
と、彼らは明るく、そして笑いながら軽い気持ちで言ってきたのだろうが…
わたしには、とても笑えない…
初めてのお酒で大失敗をし…
大切な処女を失くした記憶も無く…
本当に最悪な大学デビューとなってしまった…
そしてわたしはそれからの四年間の大学時代のあだ名が…
淫ちゃん…
酒淫のいんちゃん…
インちゃん…
さすがに淫を消してくれての
『インちゃん』となった…
三年後…
「ねぇ、先輩」
「え、なに?」
「なんで先輩は『インちゃん』ってあだ名なんですかぁ?」
後輩が訊いてきた。
「え、あ、そ、それはね…」
『インパクト』があるから、インを取っての『インちゃん』らしいのよね…
全くの嘘なのだが…
さすがに本当の由来は云えなかった…
『酒淫の淫ちゃん』だなんて…