もう奴隷のように犯されるのはイヤ…
第11章 【憧れの女上司に全てを捧げたのに……】
「すみれは可愛いね、今日も食べちゃいたい…」
「奈々美さんになら…食べてもらいたいです」
会社で2人きりの残業。
誰も居ない空間で、パソコンとにらめっこしてた私にラテを差し入れてくれた後、背後からギュッと抱き締めてくれた直属の上司、奈々美さん。
中途で入った私の指導係で仕事のノウハウは全て奈々美さんに叩き込まれた。
ようやく慣れてきて1人で任せられる案件も増えてきた頃。
私は自分でも気付いてる。
恋愛対象が女性であること。
奈々美さんはバリバリのキャリアウーマンで、周りからの信頼も厚い。
面倒見が良くて、私以外の女子とも親密に相談乗ってたりしてるのを見て勝手にヤキモキしてたり。
というより男女関係なく慕われている人。
頑張って仕事覚えて褒められたい一心で奈々美さんに食いついていたら。
会社の忘年会で私に注がれるお酒を代わりに飲んでくれたり、しつこい上司の説教たるものを軽々と交わして慣れていない私たちを守ってくれる。
でも、やっぱり酔いは完全に回っていたみたいで。
「川崎さん、送って〜」と私を指名してくれて介抱しながら奈々美さんをタクシーで送ることに。
ドキドキした。
私を名指ししたこと。
寄りかかってきた奈々美さんがめちゃくちゃ良い匂いがしてクラクラきちゃう。
シートベルト出来そうになくて「して…」て至近距離で言われたこと。
私を信頼してくれているのか、財布渡されて免許証も見せてきて「住所、こーこ」とかトロンとした目で甘えてくる奈々美さんにずっと心奪われていて。
運転手に住所伝えて走り出すと、当たり前のように肩に頭を乗せてきた。
会社で見る上司の時の姿と全然違う。
奈々美さん、本当に恋人居ないんですか…?
こんな綺麗で、仕事が出来て、酔うとフニャフニャで可愛い人が?
指輪はずっとしていない。
恋人のこの字も聞いたことがない。
自らフリーだよって言ってたし。
彼氏いない暦とかはわからないけど、私が勤め出した時からは居なかったはず。
目的地に到着して、フラフラで歩けないだろうなと思い、ベットまで運ぼうと奈々美さんを抱えながら歩いていく。
「あれー?川崎さんじゃん?どうしたー?飲んでるー?」
「吉原チーフ、もう家に着きましたよ、鍵あります?」
「そうだ、川崎さん、下の名前何だったっけ?」