12歳年下の彼に溺愛される話
第6章 11月の出来事
「それは今は、8度ちょっとで
さっきお薬貰ってたの飲んだから、
効いて来ると思うし、多分
大丈夫だとは…思うんだけど…ッ」
『それよりも、巴さん、
夜は、何か食べたい物ありますか?
食欲はある感じです?食べれますか?
お昼はご飯、食べれましたか?』
電話の向こうの彼は、
こっちがインフルだって言ったのに
仕事が終わったら来る気満々で。
「いや…だからね?大した事ないから。
お見舞いとか、様子見に来たりとか
しなくても、良いから。
うつしちゃったら、大変だし。
来て貰わなくても、大丈夫だからね?」
『そんなの、今が大丈夫でも、
夜中に高熱が出るかも知れないでしょ?
あ、ちょっと…待って下さい。
すいません、巴さん。
呼ばれてるみたいなんで、行って来るんで。
じゃあ、僕が、
…巴さんの事…看病しに行きますね』
ツー、ツー、ツー。
そう言うだけ言って、
通話は切れてしまって。
「だから…インフルエンザだって、
言ってるのに…、会いに、
来なくて良いんだってば…」
LINEの通知音が鳴って、
港斗君からLINEが来ていて。
巴さんは、しっかり休んで
寝てて貰ったら良いので。
チェーンだけ…掛けないで
置いて下さいねと。
ダメ押しの様な、LINEが来ていて。
了解と…返すしか…
巴には出来なかったのだけども…。
あの…電話の感じでは、
こっちが何を言おうと
彼はうちに看病しに来る気でいるし。
来てくれると言ってるのに、
チェーンを掛けて締め出すのも…
彼の気持ちを…無下にするみたいで。
私としても…心苦しいのではあるが。
これが普通の風邪ならまだしも、
インフルエンザなのだから。
私の顔を見に来たばかりに、
彼にインフルエンザをうつして
しまいたくないと…私は考えていて。